ジャパンオープン2023名古屋大会にご参加いただいた選手、メンター、スタッフの皆さま、3日間ありがとうございました。
サッカー競技の結果および、競技結果に対する技術委員会の見解について掲載します。
〇競技結果
★サッカー競技カテゴリ別の上位チーム、受賞チームリスト
RoboCup Junior Japan Open 2023 Soccer Award
★最終結果
各カテゴリについて、以下を公開します。
・全試合結果
・試合結果に基づく順位一覧
・ソルコフ値とポスターを加味した世界大会推薦順位一覧
RoboCup Junior Japan2023 SoccerResults
〇競技結果についての技術委員会の見解について
本大会ではNSB 全6ラウンド、WSL 全9ラウンド、WSO 全7ラウンドを予定しておりましたが、WSLの2ラウンドがキャンセルとなり、全7ラウンドとなりました。
また、全カテゴリにおいてスイス式トーナメントの組み合わせに不自然な点が見られるとのご指摘をいただいています。
上記の2点について、今大会の競技結果および当日の状況を基に技術委員会にて検証した結果を記載します。
なお、大会参加者向けに先日配信しましたNews Letter 4と内容が被るところがあります。
前半でそれぞれの問題についての説明および経緯のご報告と、関連するご質問への回答を記載させていただき、後半で来年の大会に向けた考えを記載します。
★WSLの2ラウンドキャンセルについて
WSLの2ラウンドがキャンセルとなり、またそれに伴いWSOとNSBでも大きなスケジュール変更が生じました。
慌しい状況となったこと、また予定の試合数が実施できなかったことについて、お詫び申し上げます。
大変申し訳ございませんでした。
サッカー技術委員会では2016年からスイス式トーナメントを競技に取り入れています。
2015年まで採用されていた予選リーグ戦、決勝トーナメント戦という競技方式(FIFAワールドカップのような方式)に比べると以下のようなメリット、デメリットがあります。
<スイス式のメリット>
・組み合わせの運が結果に作用する重みが小さく、公平性が高い
・全チームにより多くの試合機会がある
・1ラウンドごとに順位が確定するため、任意のラウンド数で大会を実施することが可能であり、スケジュールの自由度が高い
<スイス式のデメリット>
・組み合わせが事前に明らかにならない
・組み合わせの決定方法が非常に複雑
ここで、スイス式トーナメントについて簡単に説明します。
スイス式トーナメントでは、ラウンドN-1までの成績を基にラウンドNの組み合わせを決定します。つまり、ラウンド1の試合結果からラウンド2の組み合わせを決め、ラウンド1と2の試合結果からラウンド3の組み合わせを決定していきます。
試合の組み合わせは以下のルールに基づいて行われます。
・同じ対戦は一度のみ実施する
・その時点で成績ができるだけ近い者同士が対戦するようにする
このルールに基づいて組み合わせを行うと、1ラウンドごとに全勝チームの数が半分ずつ、またはそれ以下になっていきます。
よって、今大会の参加チーム数に基づくと、NSB(26チーム)では5ラウンドで、WSL(68チーム)では7ラウンドで、WSO(15チーム)では4ラウンドで全勝チームが1チーム以下に絞られます。
一方、今大会ではNSB 全6ラウンド、WSL 全9ラウンド、WSO 全7ラウンドを計画しました。
全勝チームを1チームに絞るために必要なラウンド数よりも多くのラウンド数を実施すると、一般に順位の精度をより高めることができます。
さて、このような計画で大会を進めるにあたり、ひとつ大きな問題が存在しています。それは、上記のルールを満たす試合の組み合わせを求めることが非常に難しく時間のかかる作業であるということです。
そこで2017年の大会から組み合わせの自動化に取り組み、会場で皆さんにもご覧いただいた競技システムとして、有志のボランティアにより開発を行っており、毎年改善版が投入されています。
ただそれでも、上記のルールに基づいた組み合わせをプログラムで算出できないケースがあり、そのような場合は手作業により組み合わせの調整、確認を行う必要があります。
今大会ではWSLの第7ラウンドの組み合わせが、プログラムで算出できませんでした。
よって、当初WSL 第7ラウンドの後に予定されていたNSBとWSOの試合を繰り上げ、その間に第7ラウンドの組み合わせを手作業で実施しました。
それによりWSL 第7ラウンドは時間を遅らせながら実施することができましたが、残念ながら第8ラウンドの組み合わせについても、プログラムで算出できない状態が発生しました。
WSLの1ラウンドを実施するためには試合だけでも45分間、組み合わせの告知の時間なども含めると最低限55分間が必要となります。
よって、WSLの第8ラウンドを実施するためには、遅くとも13:05までに手作業での組み合わせ作業が完了する必要がありました。
しかし、12:50時点でその見込みが立たないことが明らかであったことから、WSLの第8ラウンド以降を中止する決定を行い、その分、交流会の時間を長く取ることにしました。
以上がWSL 2ラウンドキャンセルの経緯となります。
続けて、本件に関していただいているいくつかのご質問に回答いたします。
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Q1)
現場での選手に対する説明が不足していたのではないか?
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A1)
中止を決定した段階で各チームキャプテンを集めて中止になる事、およびその理由を説明しました。
質問を受け付けたところ数人から質問がありました。その数人の質問に答え、その後特にありませんでしたので、伝わったものと判断しました。
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Q2)
現場でのメンターに対する説明が不足していたのではないか?
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A2)
ご指摘の通り、WSLの2ラウンドキャンセルについて、メンターに対しては特別説明の機会を設けませんでした。
主な理由は以下の通りです。
・過去の大会においても、スケジュールの変更に関してメンター全体に向けた説明の機会を設けたことは無く、当時そのような場を設ける考えはありませんでした
・メンター向けの対応は競技運営の中でどうしても優先順位が下位になります
・ラウンドキャンセルに伴い生じた各種の対応、成績処理、表彰選定等の調整にリソースを集中する必要があり、メンター向けの対応に割ける戦力はありませんでした
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Q3)
試合時間の短縮やトーナメント戦への切り替えといった対応もできたのではないか?
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A3)
ルールに記載されている正規の試合時間は、前半10分、ハーフタイム5分、後半10分です。しかしこのタイムスケジュールでは実施できる試合数が少なくなってしまうため、前半4分、ハーフタイム2分、後半4分と試合時間を短縮して実施しています。
これ以上の短縮はゲーム性に与える影響が大きすぎると考えています。
勝ち残りトーナメント戦への切り替えについて、ご提案をいただきありがとうございます。
過去の大会では予選をスイス式トーナメントで実施し、その後決勝として上位チームによる勝ち残りトーナメントを実施したこともあります。ただ、その大会では勝ち残りトーナメントを実施することが初めから決定しており、予めその準備が整えられていました。
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以上、WSLの2ラウンドキャンセルについて多くいただいておりますご質問への回答でした。
★不自然なスイス式の組み合わせについて
名古屋大会でのスイス式トーナメントは以下のルールに基づいて組み合わせを決定する予定にしておりました。
・同じ対戦は一度のみ実施する
・成績ができるだけ近い者同士が対戦するようにする
・(RCJJ2023では)成績は勝ち点>得失点>総得点>総失点で評価する(※)
※成績決定要素は、毎年評価し適宜変更が加えられています。
しかしながら本大会では、何件かご指摘もいただいておりますが、上記のルールに沿った組み合わせが行われませんでした。
「なぜルールに沿った組み合わせが行われなかったのか」、「具体的にどのようなルールで組み合わせが行われたのか」については、現在調査中となっております。
スイス式トーナメントとして適切な組み合わせが行われなかったことについて、謹んでお詫び申し上げます。
続けて、本件に関して頂いているご質問に回答いたします。
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Q4)
適切な組み合わせで実施されていない以上、公正な結果とは言えないのではないか?
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A4)
確かにスイス式トーナメントとして適当な組み合わせでは実施されませんでしたが、組み合わせはプログラムで行われましたので、一定のルールのもとで生成されています。全てのチームが同条件で競技が行われましたので、この結果を無効とすることは考えていません。
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情報が少なく恐縮ですが、以上が現在判明している経緯となっております。
★来年の大会に向けた対応について
・競技システムの安定化
今回発生した問題の原因を究明するとともに、来年度に向けた改善のためどのような対応が可能か、開発者と協議して進めてまいります。
・サッカー技術委員会のリソース強化
ジャパンオープンの準備は、現役のメンター、元メンター、OBOG、有志スタッフなどで構成されるサッカー技術委員会により、ボランティアで行われています。
サッカー技術委員会では大会準備等にご参加いただけるメンバーを常に募集しており、近年は特にリソースの強化に積極的に取り組んでいます。
その成果もあり、活躍いただいているメンバー数は順調に増加をしていますが、様々な情勢の変化などにより、大会準備に当たって必要となるリソースもまた増加傾向にあります。
ジャパンオープンの準備は大会のおよそ半年前から始まりますが、情報管理の都合などから、サッカー技術委員以外の方に初期からお手伝いいただくことは難しいです。
サッカー競技のさらなる発展にご関心をお持ちの方は、ぜひ技術委員会への参加をご検討ください。
サッカー技術委員会にご参加いただくには、各地域の技術委員会にお気持ちを伝えていただくのが最も近道です。
OB/OGの方などで進学や就職等により居住地が変わった方でも、参加していたブロック、繋がりのあるブロックの技術委員にお声がけいただければ全く問題ありません。
皆さまのご参加をお待ちしております。
また、競技以外の点についていただいておりますご質問にも併せて回答いたします。